相模原市下水道ビジョン(案)についてのパブリックコメントの実施について
「潤水都市さがみはら」の観点から、雨水計画についての意見及び提案とさせて頂きます。
このたび、下水道ビジョンのパブリックコメントを求めていることをホームページで知り再度雨水対策の問題点と今後の方向性についてコメントをさせて頂きたいと思います。
I. 課題の整理
1. 相模原の地盤は河岸段丘(礫質と土丹)を除くとほとんどが関東ローム層で覆われており、関東大震災でも八景の棚のごく一部以外ほとんど被害がなかったと聞いております。含水比は確か90%前後で平均3t/㎡から6t/㎡ぐらいの粘着力を保持し、このことによって通常の地震等(長時間の繰り返しの地震によるロームの流動化以外)には相当な地耐力を持っていると言われています。
2. 相模原市内の河川は、特に旧相模原の下水道普及率が100%近くになり、結果河川の水質もかなり良くなって透明化した水流になっています。但し、そのことと、市内の舗装率も100%近くになり、雨が降ると流失率(f)が大きくなり雨水到達時間を除き瞬時に河川に流れ、水没する地区も皆無ではなく、また、ゲリラ豪雨的な雨により、境川上流(都境)や境川淵野辺地区(都境)で氾濫や津久井地区では法面崩壊もありました。
3. 一方、都市化や公共下水の普及により中小河川である鳩川、姥川、道保川においては平常時の流量が少なくなり、さらに、河川改修(将来計画にあわせた拡幅)にも影響され、水位も当然低くなり、ゴミの滞留や水質汚染が懸念される状況に至っています。さらに、水生動物、植物も魚も大事なファクターで、今後親水護岸としても期待されるところですので、水量の定時流量も視野に置かなければと同じく懸念されるところです。
4. グリーンコンパクトシティを目指している相模原にとって、津久井地区が合併されて緑被率が60%を超えましたが、安心していてはいられません。特に、旧市内の都市部においても緑地や緑が必要で、その植生を保持するためにも、地盤の中の規定流量(含水比)が問題視されていています。ご存じの通り、人間は直接的に炭水化物やタンパク質と脂質を採らないと生命維持は出来ないが、植物は地面より窒素とリン等の他、水を補給しながら光の光合成で自らエネルギーを作ることが出来ます。そのために、地中には水分が必要で、雨が瞬時に川に流れるのではなく雨水による地下水涵養を通し地中の含水比を90%前後に保たなくてはなりません。同時に、粘着力を通し地盤の強度を保つ必要があります。
5. 昔、ビオトープとしての藪や低湿地帯等がたくさんあり流量調整を自然のサイクルの中で行ってきた歴史があり、最近、特に考えなければならない環境対策のヒントとしてゲリラ豪雨だけでなく、自然のサイクルを取り戻すために、日常の雨水対策を真摯に考える時が来たと思います。
II. マーケティング
1. 国道16号線沿いの植栽帯を通過する車両からみて、相模原市は緑地が多いとの印象を受けると言う人が多く、街のイメージとは街づくりのコンセプトいかんで変わるという結果が見られます。このことからも雨水での地下水涵養を真剣に考える必要があります。
2. 相模原市の桜祭りでも有名な市役所通りにおいても、桜の寿命が40年位という説があり、徐々に植え替えをして行かなければならないことはもう一つの問題として、今できることは雨水の涵養を考え少しでも寿命を長くすることが問題であると思います。
3. 旧相模原市(市街地)においては住宅密集地が多く、尚且つ、宅地内の屋根面積(カーポート等を含む)より庭等の面積が少なく、雨水の多くを浸透しないで道路等を経て河川に集中的に流失している現状があります。
4. 市内雨水調整池も浸透貯留システムにより、高低差を持った有効利用より平面的に有効利用できる多目的広場(木漏れ日のあたる親水公園)等にし、使用日率を高めてもらいたいとの意見を多く聞きます。
5. 雨水管工事の土被り5M以内の管路は開削工事で発生土量も多く、残土捨て場も将来の工事量を賄う捨て場がなく、なるべく再利用か発生土量を少なくする工夫が必要とされています。
III. イノベーション(上記課題に対し)
1. 市内の雨水人孔を浸透人孔に計画的に取り換えて、特に旧市内の植樹帯の保持に努めてもらいたい。
2. 区画整理等では、特に、開削工事が可能なので雨水浸透管を使い、しかも、管頂継ぎ手施工により、掘削深さを浅くし、土量も少なく、工事費も下げ、尚且つ、涵養も同時に出来る設計にしてほしい。また、重要なことは雨水管、管頂接合で所々に貯留用の口径の大きいものを設置し地下貯留浸透施設(神田川の小規模版)としての働きも持たせて欲しい。特に浸水被害が多発する地域には必要で、それ以外の地区は浸透効果により小径管化が期待出来ることにより工事費縮減にも効果がある。ゲリラ豪雨は比較的雨が続いた日に起こるよりも、日頃、天気が続く中で起きるため、浸透管による雨水の地盤吸水率も期待できると考えられる。
3. 雨水を、地中に含水させ関東ローム層の地盤強化を図るとともに、流下到達時間以外に地下水涵養を通し、時間差を持って河川に流出させ、湧水による一定の流量と水位に心がける。
4. 調整池等を雨水浸透貯留システムに換え維持管理と安全性を高め、下流管も浸透管と連結し地面の涵養を高め、尚且つ安全な多目的広場と環境にやさしビオトープの役目も果たしてもらいたい。
5. ビオトープは、自然のサイクルを取り戻せる事と植物や鳥や小動物にもやさしいエコロジーな環境が人間の心を安らぎ、心豊かな社会への一つのツールにもなる。
6. 市内自動車等のCO2発生量がどの位かを試算し、その発生量に見合う緑地帯は、どの位が必要かも数字に表し目標値化する。また、人口一人当たりのCO2発生量も同じように数値化し、市全体ではどの位の量になるかも知った上で雨水計画を考えた上で、エコをとらえてほしい。
7. 上記に関する、A&A地区の透水実験結果【現位置浸透能力調査結果】(3箇所)及び貯留浸透施設システム計画と16号対策等の資料は過去に提出済みの物が整えてあります。
また、浸水被害が多発する地域には道路内に大口径の浸透管を設置することにより、土地購入費もしくは賃貸料が不要となる効果も合わせて出てきます。